2012年8月30日木曜日

平成24年度_特別展示「三輪田米山の世界」_終了しました


とらわれのない書の美と力〜

平成24年7月21日(土)〜平成24年8月30日(木)
9:00-18:00(展示室入場は17:30まで)
休館日/7月23日、30日、8月6日、27日

主  催   株式会社 レスパスコーポレーション
共  催   松山市教育委員会(子規記念博物館)
協  力   米山顕彰会

入館料    個         人   400円
                   団         体   320円
                        高校生以下      無料  

ごあいさつ



 三輪田米山は、文政4年(1821)に松山の日尾八幡神社神官の長男として生まれ、 明治41年(1908)に88歳の長命で没しております。
 正岡子規は、慶応3年(1867)から明治35年(1902)、35歳目前に没して おります。子規が生まれた年に米山は47歳でした。
 すでに書家としての高名は松山近隣に知られ、酒を饗応せられては筆を振るっていました。子規との交流は見えませんが、明教館の漢学者日下伯に書を学び、大原観山(武右衛門・子規の外祖父)や武五友(幾右衛門・子規の漢学の師)と交流しています。大原 観山に乞われてその陣羽織に「其静如山 其動如水」と揮毫しているほどです。
 米山は独学で王羲之の書を猛練習したといわれますが、明治の書壇は六朝風が席巻していました。たとえば、子規の友人で洋画家の中村不折や俳人河東碧梧桐の書です。そのような書壇から離れた米山の独創的な書を高く評価し、愛した松山の人々は慧眼だったといえましょう。子規や碧梧桐、高浜虚子を生んだ松山の文化風土の豊かさが米山の書を認めたといえましょうか。
 今回の展示では米山顕彰会のご尽力のおかげで、日頃見られなかった米山の貴重な書が数々堪能できます。8月26日(日)には、夏季子規塾、「子規の時代の伊予松山 米山日記を読む」と題して三浦和尚先生のご講演があります。あわせて米山の世界をご堪能いただければ幸いです。


松山市立子規記念博物館 館長  竹田 美喜




 米山はご承知の通り、幕末から明治にかけて活躍した伊予の書家です。松山一円では、書道にあまり興味をお持ちでない方も名前はご存知の場合が多いと思いますが、米山が全国的にどの程度の書家なのか、あるいは、日本書道史上にどのように位置づけられているのかについては、残念ながら周知されているとは言えないのではないか。そのことが、米山顕彰会の一番の問題意識です。
 米山は、流派の垣根を超えた総合書道雑誌『墨』において、1984年に特集が組まれ、また、2008年には特集「20世紀の書 名品選」として、20世紀の書人50人の一人として位置付けられています。
 米山の書は、間違いなく、日本の近代の書の宝です。わたしたち顕彰会は愛媛の宝がこういう形で存在することを、もっと広く認識していただきたいと思って活動しています。
 今回、子規記念博物館において展覧の機会を作っていただきましたことは、そういう意味で望外の喜びとするところです。
 米山書の美と力を、直筆作品によって存分にお楽しみいただければ幸いです。


米山顕彰会会長・愛媛大学教育学部長  三浦 和尚